ナイター照明に浮かぶトラック、潮風をまとった5月の夜気、そしてスタンドを揺らす紫紺コール——。明日18時、レモンガススタジアム平塚で鳴り響くスターターの銃声は、学生駅伝シーズンの幕開けを高らかに告げる。今年の全日本大学駅伝関東予選会は、箱根を経て深化した各校の“総合力”が試される場。エースの切れ味だけでは勝てない4組総合の記録勝負は、ロードに強いチームの地力をあぶり出す“真夜中の中間試験”だ。
中央大学にとって、伝統のCマークを伊勢路へ届けることは宿命に近い。箱根路の雪辱を胸に、吉居駿恭・溜池一太・本間颯の3本柱が挑むのは、留学生砲を擁する日本大学や堅実派・順天堂大学との“スタイルの衝突”。1秒も手加減のないペースの応酬に、スタンドの心拍がシンクロする――そんな熱狂を、データと現場の臨場感で丸ごとお届けしたい。
1. 大会概要と注目ポイント
項目 | 内容 |
---|---|
大会名 | 第57回 全日本大学駅伝対校選手権大会 関東学生陸上競技連盟推薦校選考会 |
日時 | 2025年5月24日(土)18:00 号砲(1組)~20:52 予定(4組終了) |
会場 | レモンガススタジアム平塚(神奈川県平塚市大原1-1)*バックスタンド開場 16:00 |
レース方式 | 10000m×4組/各校エントリー最大10名→各組位2名=計8名合計タイムで争う |
通過枠 | 上位7校が11月3日(祝)の本戦《熱田神宮→伊勢神宮106.8 km》へ進出 |
出場校 | 20校(前年と同規模) |
今年ならではの見どころ
- ポスト五輪シーズンならではの二極化:トラック専念組が抜け、ロード型が台頭。
- 気温19℃→17℃へ急降下予報:後半組ほど走りやすい条件で“逆転ドラマ”期待。
- 1組ハイペース化の可能性:従来は14’20入り→今年の先導予定は14’05〜10。リスクとリターンの駆け引きに注目。
2. 中央大学プレビュー – “C”の誇りを胸に
キーランナー(3柱)
学年 | 氏名 | 10000m PB | 2025年主要戦績 | 役割 | 直前コメント |
4年 | 吉居駿恭 | 27:33.88 | 学生ハーフ2位・関東IC10000m3位 | 4組アンカー | 「最後のスパートは誰にも譲らない」 |
4年 | 溜池一太 | 27:44.21 | 箱根2区6位・関東IC5000m5位 | 3組リーダー | 「貯金を作るのが僕の使命」 |
3年 | 本間颯 | 28:40.22 | 5000m13:55・春合宿ロング走最速 | 1組キーマン | 「吉居さんと溜池さんに勢いをつなぎます!」 |
取材で3人の表情を間近に見て感じたのは「今年こそ必ず伊勢路へ」という強い目の輝き。特に吉居選手は冗談を挟む余裕もありつつ、スタンドを睨むような視線が印象的でした。溜池・本間の2人は「吉居さんを笑顔でアンカーに送り出したい」と口を揃え、チームの一体感が肌で伝わってきました。
チームデータ & 戦略の要 & 戦略の要
- 全体平均10000m:28:17.4 (エントリー10名)
- 5000m14分00秒切り:10名中9名!厚みは関東No.1
- 夏前の走行距離(4–5月平均):1人当たり840 km(監督談)
- 練習拠点:多摩キャンパス周辺+富士五湖合宿(標高900 m)
3. 最新ライバル徹底分析(上位候補7校+ダークホース)
個人的な見どころ:今年は「留学生 vs 日本人エース」の構図が例年以上に鮮明。スタンドにいると5000m通過で起こるどよめきが留学生の一挙手一投足で変わるのですが、日本人主力がそこに割って入った瞬間の盛り上がりは鳥肌モノ。明日、その瞬間を何度味わえるかが今から楽しみです。
日本大学
- 留学生W砲チャールズ・ティモシー(27:32.55)& ジャスティン・キプケモイ(13:21.10)。
- 新主将松沢雄大(28:24)が“つなぎ職人”。
- ウイークポイント:2組以降の日本人中堅層が28分50~29分台。ハイペース初体験の選手が多い。
順天堂大学
- 助っ人ゼロでも勝負:吉岡大翔(27:56)+新星砂川大河。
- チームカラーは“手堅さ”。1〜3組でALL TOP10以内を狙い、4組は28分前半でOKという設計図。
- 要注意:3組に配置された2年岩川隼人(5000 m13:34)がアップセットメーカーとなる可能性。
大東文化大学
- 10000 m平均28:35、5000 m13分台10人でスピード転換成功。
- 4組の頼みは松尾時央(27:59)。ただしシーズン序盤に右ハム痛あり仕上がり不透明。
山梨学院大学
- ムテチ(27:28)&内藤悠雅(28:01)が4組へ。
- 1・2組が14’20→14’30想定で大きなビハインドを抱える可能性も。爆発力とリスクは紙一重。
駿河台大学
- 赤星雄斗(28:30)&岡田拓真(28:42)の3年生コンビが鍵。
- エース吉里遥斗(28:06)はインフル明けで当日朝判断。出走なら一気に突破圏内へ。
中央学院大学
- 坂道ハンターの異名を持つ川畑静雄(28:15)が1組予定。平塚ではどう適応?
- 3組以降は28分台後半~29分前半の“耐えの布陣”。
東海大学
- 1組布施嘉太朗(28:21)、2組幸田陸(28:19)で先行逃げ切りを図る。
- ダークホース:新留学生キメリ(5000 m13:19)。登録済だが当日出走は五分五分。
ダークホース枠:神奈川大学
- 地元開催アドバンテージ。10000 m平均は28:52と見劣りするが、**3組の下里凌平(28:12)**がブレイクすれば一気に7枠争いへ。
4. レース展開シミュレーション – ラップ解析
組 | 予定時刻 | 先頭想定ペース | 中央大ターゲット | ボーダー校想定 | 観戦キーポイント |
1組 | 18:00 | 28:10(14’05/5k) | 柴田28:15、鈴木28:18 | 28:35〜29:00 | 日没前、風弱め。集団形成がカギ |
2組 | 18:45 | 28:05 | 伊東28:05、吉中28:10 | 28:30〜29:10 | 気温19→18℃へ。ペースアップで中堅をふるい落とす区間 |
3組 | 19:35 | 27:55 | 溜池27:50、藤田28:05 | 28:25〜28:50 | ナイター照明。溜池のロングスパートが勝負所 |
4組 | 20:40 | 27:40 | 吉居27:36 | 28:10〜28:30 | 気温17℃、湿度60%。“吉居スパート”炸裂なるか |
5. 通過7校大胆予想+α(編集部)
予想順位 | 校名 | 合計タイム(予測) | コメント | MVP候補 |
1 | 中央大学 | 3:45:00 | エース2枚+中堅4枚が“平均27:56”想定 | 吉居駿恭 |
2 | 順天堂大学 | 3:47:30 | 全組TOP10内の堅牢戦術 | 吉岡大翔 |
3 | 日本大学 | 3:47:50 | 留学生2枚看板爆発 | チャールズ・ティモシー |
4 | 山梨学院大学 | 3:48:25 | 4組30秒差詰め切れず | ムテチ |
5 | 大東文化大学 | 3:48:55 | 終盤まで粘り◎も最後足りず | 松尾時央 |
6 | 東海大学 | 3:49:05 | 新留学生の有無で変動 | 布施嘉太朗 |
7 | 中央学院大学 | 3:49:35 | 最終1周の執念で滑り込む | 川畑静雄 |
8 | 神奈川大学 | 3:49:38 | 地元声援もわずか3秒届かず | 下里凌平 |
Pick Up! 通過ラインは“3:49:30前後”。7–9位が10秒差以内のデッドヒートと予測。
6. 観戦ガイド – 現地&オンライン完全対応
アクセス
- JR東海道線「平塚駅」北口→徒歩25分/神奈中バス《平50》系統「総合公園」下車5分
- 駐車場:会場隣接(有料・500台)17:00には満車の見込み
チケット情報
- バックスタンド自由席:当日券1,000円(中高生500円)
- メインスタンド指定:前売完売
- ピッチサイド撮影パス:事前申請のみ/当日発券不可
平塚グルメMAP
店名 | 距離 | 名物 | コメント |
湘南しらす丼『浜料理 太郎』 | 徒歩8分 | 生しらす丼 | 20:30 LO。観戦前の腹ごしらえに最適 |
平塚タンメン『老郷 本店』 | 徒歩12分 | 酸辣タンメン | レース後の温かいスープで冷えた体を回復 |
鳥仲商店 | 徒歩5分 | 若鶏の唐揚げ | テイクアウトOK、スタンド持ち込み可 |
配信&SNS
- LIVE:関東学連公式YouTube(解説:大八木弘明/ゲスト:佐藤悠基)
- X(旧Twitter)ハッシュタグ:
#伊勢路へ
#全日本大学駅伝予選
#中央大学駅伝部
- 速報サイト:4years./月陸Online/Lap Center
7. データで読む予選会 – スプリット&セグメント比較
この項はデータ好き向けのディープダイブ。読み飛ばし可。
校名 | 1–3組平均10000 m | 4組アンカーPB | 5000 m平均 | 登録留学生数 |
中央大 | 28:13.9 | 27:33.88(吉居) | 13:46.2 | 0 |
日本大 | 28:20.5 | 27:32.55(ティモシー) | 13:42.8 | 2 |
順大 | 28:25.4 | 27:56.10(吉岡) | 13:49.0 | 0 |
山学大 | 28:28.7 | 27:28.12(ムテチ) | 13:52.1 | 1 |
大東大 | 28:26.1 | 27:59.80(松尾) | 13:48.7 | 0 |
東海大 | 28:32.8 | 28:10?(キメリ想定) | 13:50.4 | 1 |
中学大 | 28:34.9 | 28:15(川畑) | 13:55.8 | 0 |
解析メモ:中央大は留学生ゼロながら他校を凌ぐスピード指標。日本大は*5000 m平均◎*で中盤以降のピッチアップ型。
8. まとめ – “伊勢路へのファーストステップ”を見逃すな!
10000 m×4組という一発勝負は、総合力・戦術・当日のアジャスト力が丸裸になる“最恐トライアル”。中央大学は27分台4本を叩き出す青写真を掲げ、ライバル校は“高速化”か“後半爆発”かで揺れる。
書き手の本音:個人的には、予選会独特の「1秒を削り合う連帯感」が大好きです。仲間のラップを背中で感じながら腕を振る姿に、毎年胸を熱くさせられます。伊勢路本戦はもちろん華やかですが、平塚の夜風を切るこの予選会こそ学生駅伝の原点かもしれません。
観戦TIP:最終4組は20:40スタート。ラスト5周のスタンドは立ち上がる観客で視界が遮られるので、良席を確保したいなら19:45までに移動しておくと安心!
吉居・溜池の**“紫紺の闘志”**が光るのか──それとも留学生スプリンターが意地を見せるのか。2025 学生駅伝シーズンの序章を飾る平塚決戦は、あなたの予想を超えるドラマを生むはずだ。
コメント