夏の北海道を転戦し、数々の記録を生み出すホクレン・ディスタンスチャレンジ。そのシリーズ第4戦、北見大会が明日7月12日に開催される。中でも、確定したエントリーリストを見ると、男子5000mは各組に見どころ満載の、非常に興味深いメンバー構成となった。
A組では、青山学院大学時代からの盟友、岸本大紀選手と鈴木塁人選手(ともにGMOインターネットグループ)が強力な海外勢に挑む。B組には規格外の高校生・本田桜二郎選手が登場。そしてC組には、あの設楽啓太選手がエントリー。
それぞれの組が持つ異なるテーマと注目選手、そしてレースの展望を、確定版リストから徹底的に読み解いていく。
【A組】GMOコンビ vs 海外勢!13分30秒切りのハイスピードバトル
◆ レースの性格:国際級スピードレース A組は、持ちタイム13分20秒台の強力な留学生ランナーが複数エントリーしており、彼らがレースのペースを支配する超高速タイムトライアルとなることは間違いない。日本人選手にとっては、このハイペースな流れに乗り、いかに自己ベストを更新するか、そして日本人トップを誰が獲るかというサバイバルレースになる。
◆ 注目選手
- 鈴木 塁人(すずき たかと)/ GMOインターネットグループ: 自己ベスト13分29秒21は、日本人エントリー選手の中でトップクラス。安定感があり、どんなペースでも崩れない強さを持つ。海外勢の作る速い流れは、彼にとって自己ベスト更新の絶好の機会となる。
- 岸本 大紀(きしもと ひろのり)/ GMOインターネットグループ: 青山学院大学時代、箱根駅伝で見せた劇的な走りで多くのファンを魅了した。自己ベストは13分32秒80。持ち前の勝負強さを、このスピードレースで発揮できるか。チームメイトの鈴木選手との連携、そして競り合いにも注目だ。
- 古賀 淳紫(こが きよし)/ 安川電機: 13分38秒71の記録を持つ実業団の有力選手。粘り強い走りで、上位争いに食い込みたい。
- 海外勢: **ブライアン キピエゴン選手(山梨学院大)やデニス キプルト選手(日本薬科大)**など、13分20秒台の力を持つ選手たちが、1000mを2分40秒前後のペースでレースを牽引する。
◆ レース展望 海外勢が作るハイペース集団に、岸本・鈴木塁人のGMOコンビがどこまで食らいついていけるか。勝負はラスト1000m。日本人トップを懸けたスパート合戦は必至だ。自己ベスト更新ラッシュが期待される、目の離せないレースとなるだろう。
【B組】スーパー高校生・本田桜二郎、実業団に挑む
◆ レースの性格:13分50秒切りを目指す戦いと、世代を超えた対決 B組は、13分50秒台の自己ベストを持つ選手が中心となる、非常に競争の激しい組。しかし、その構図を面白くするのが、高校生・本田桜二郎選手の存在と、彼を遥かに上回る自己ベストを持つ海外勢のアレクサンダー・ムティソ選手だ。
◆ 注目選手
- 本田 桜二郎(ほんだ おうじろう)/ 鳥取城北高等学校: 自己ベスト13分51秒20は、高校生としてはまさに世代トップ。格上である実業団・大学の選手たちを相手に、どれだけ物怖じしない走りを見せられるか。彼の走りは、今後の高校長距離界を占う上で見逃せない。
- アレクサンダー・ムティソ / NDソフト: 自己ベスト13分21秒90という、A組でも優勝を狙える力を持つ選手。彼がペースメーカー的な役割を果たすことで、B組全体の記録が大きく引き上げられる可能性がある。
- 小泉 樹(こいずみ いつき)/ 黒崎播磨: 自己ベスト13分51秒21。本田選手と競り合いながら、自己ベスト更新を狙う。
- 坂田 昌駿(さかた まさとし)/ NTN: 自己ベスト13分40秒67。資格記録は13分50秒台だが、本来の力はB組の中でも上位。調子が上がっていれば、レースを支配する存在になるかもしれない。
◆ レース展望 ムティソ選手が作るハイペースに、誰がついていくのか。そして、高校生の本田選手が、経験豊富な実業団選手たちを相手にどのような位置取りで勝負するのか。世代を超えた競り合いが、このB組最大の見どころだ。
【C組】設楽啓太、復活への一歩。そして14分の壁への挑戦
◆ レースの性格:実力者の再起と、若手の挑戦が交錯する舞台 C組は、14分一桁から10秒台の選手たちが中心となり、多くの選手が**「14分切り」**を目標とするレース。しかし、その中に一人、異次元の自己ベストを持つあの男の名前がある。
◆ 注目選手
- 設楽 啓太(したら けいた)/ 西鉄: 自己ベスト13分40秒32。かつて日本のトップで活躍した設楽兄弟の兄が、このC組から再起を期す。現在のコンディションは未知数だが、彼がどのような走りを見せるのか、多くのファンが注目している。レースを引っ張るのか、それとも集団の中で感覚を確かめるのか。彼の走りがレースの全てを左右する。
- 宮坂 大器(みやさか たいき)/ ヤクルト: 自己ベスト13分52秒15。C組の中では力のある存在。設楽選手の動きを見ながら、上位でのフィニッシュを狙う。
- 大学生・若手選手たち: 慶應義塾大の安田陸人選手や、筑波大の小山洋生選手など、秋の駅伝シーズンに向けて力をつけたい大学生たちが多数エントリー。彼らにとって、設楽選手のようなトップランナーと同じレースを走る経験は、非常に貴重なものとなる。
◆ レース展望 最大の注目は、設楽啓太選手の走り。彼がどの程度のペースで走るかによって、レース展開は大きく変わる。もし彼がペースを上げれば、多くの選手が自己ベストを狙えるチャンスが生まれる。彼がスローペースに徹すれば、14分切りを巡る団子状態の激しいラスト勝負となるだろう。復活を期すベテランと、未来へ挑む若者たちの想いが交錯する、ドラマチックなレースに期待したい。
まとめ:それぞれの組に、見逃せないドラマがある
ホクレン・ディスタンスチャレンジ北見大会の男子5000mは、A組からC組まで、それぞれに明確なテーマと見どころが存在します。A組のトップレベルのスピード競争、B組の世代を超えた対決、そしてC組のベテランの再起と若手の挑戦。
明日の北見の夜、それぞれの目標に向かって走る選手たちの姿に、ぜひご注目ください。
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